• 透析治療のあれこれ

これから透析を受ける
患者さんへ

For Patients

血液透析とは?

血液透析では、血液を体内から外部へと出して機械を通して血液をきれいにし、再び体内に循環させます。このため、1分間に約200mlの血液を取り出す必要があり、これを約4時間持続させるので、普通の血管ではこれだけの血液流量を確保できません。このため、一般的には利き腕の反対の腕でシャントを作成します。

シャントは、手術によって静脈と動脈をつなぎ合わせて太い静脈にしたものです。シャント作成の手術は局所麻酔で行われ、約1~2時間程度です。

血液透析では、まずシャント部に動脈用と静脈用の針を刺します(穿刺)。その後、個々の患者さんで設定された血液流量まで上げていきます。体外へ引き出された血液は、血液ポンプを経てダイアライザーと呼ばれる、いわゆる人工腎臓に送られます。ダイアラザーの中で余分な老廃物と水分が除去されてきれいになった血液は静脈側の穿刺針から体内に戻っていきます。この循環を各患者で設定された透析時間の間続け、予定した水分量が体内から引き出されたところで透析が終了します。

*生寿会グループでは透析専門医より、定期検査や合併症の治療も同時に受けられます。 シャント血管外科センター専門医より、シャントトラブル・ケアの対応をしています。

透析治療の合併症について

低血圧

不均衡症候群

貧血

高血圧

高カリウム血症

感染症

二次性副甲状腺
機能障害

透析アミロイド症

かゆみ

ある透析患者さんの一日

A Day in the Life of a Patient

透析患者さんはどのような一日を過ごしているのか、ここでは簡単なモデルケースでご紹介します。
生寿会グループで血液透析を受けられる場合を想定しています。また、スケジュールの中に出てくる時刻や手順等はあくまでも一例です。患者さんのライフスタイルによって様々ですので参考までにご覧ください。

8:20
来院。検温・手指の消毒をして透析室へ入室します。透析治療を受けやすい服装にお着替えください。更衣室もございます。 体内に溜まった水分量を計算するため体重測定します。
8:40
透析開始。
透析中は看護師が血圧測定や体調管理など順次行います。
開始から終了までスタッフが常に巡回しています。またナースコールもあるので気分が優れない場合はすぐに連絡できます。
10:00
医師による回診が開始します。
11:00
透析中はベッドサイドテレビをご覧になったり、読書をしたり、ご自身のスマホなどもご使用いただけます。
13:00
抜針し透析終了です。長時間おつかれさまでした。
13:30
ご希望の方には透析後のお食事(有料)もございます。送迎車もご利用いただけます。 午後の時間を有効にご利用ください。

※施設によってサービスが異なる場合があります。詳細は各施設へお尋ねください。

ある透析患者さんの一週間

A Week in the Life of a Dialysis Patient

患者さんのライフスタイルは様々です。ここでは3パターンのスケジュール例をご紹介します。

Aさん(80代)

送迎車を利用して通院、午後は趣味や医療介護サービスを利用

デイサービス・訪問リハビリ >

Bさん(50代)

働きながら週3回夜間透析を利用

Cさん(60代)

透析後は体を休めるためパートは午前中~昼に配分

※施設によってサービスが異なる場合があります。詳細は各施設へお尋ねください。

透析治療にかかる費用は?

cost

1ヶ月の透析治療の医療費は、患者さん一人につき約40万円程度が必要といわれています。透析治療の医療費は高額ですが、患者さんの経済的な負担が軽減されるように医療費の公的助成制度が確立しています。透析患者さんは、必要な手続きをすることで次のような制度を利用することができます。経済的な不安を少しでも和らげ、安心して透析治療を受けていただくためにこれらの制度をぜひご活用ください。

高額療養費制度

健康保険に加入している患者さんが対象で、1カ月(同じ月の1日~末日)の病院などでの窓口負担額が自己負担限度額を超えたときに、その超えた金額が公的医療保険から支給される制度です。自己負担限度額は年齢(70歳未満か70歳以上か)や所得によって異なります。
差額ベッド代や入院時の食事代の一部負担、先進医療の技術料などは自己負担となります。

特定疾病療養受療制度

健康保険に加入している透析患者さん全員が対象で、高額療養費の特例として(一般の高額療養費とは異なる)透析治療の自己負担額が1つの医療機関につき月額1万円(一定以上の所得がある人は2万円)となります。ただし、同じ医療機関でも外来・入院・薬局は別扱いです。また、入院時の食事代は自己負担となります。

障害者医療費助成制度(愛知県・名古屋市在住者)

身体障害者手帳1~3級(愛知県・名古屋市では腎臓機能障害4級まで)の障害者が愛知県内の病院などで医療を受けた場合に、自治体が医療費(保険診療分)の自己負担額を助成され、無料になる制度です。名古屋市の方は所得制限がありますので事前に確認が必要です。
※自治体によっては重度心身障害者医療費助成制度と呼ばれる場合もあります。助成内容は自治体によって異なるので、事前に確認が必要です。
【参考】身体障害者手帳
身体障害者福祉法に定める障害の程度に該当すると申請できます。
身体障害者が日常生活をしやすくすることを目的としています。じん臓機能障害は1.3.4級があります。
申請することにより、色々な福祉制度の利用が可能になります。例えば、医療費の助成、各種手当、税金の減免、交通機関の運賃割引などがあります。

自立支援医療(更生・育成医療)

心身の障害を除去・軽減することを目的とした医療制度で、血液透析やCAPDを受けた場合の自己負担分を国制度で助成します。世帯の所得により自己負担があります。
助成を受けるには身体障害者手帳を取得していること、自立支援医療機関の指定を受けていることが必要です。
原則1割負担ですが、低所得者を対象とした減免措置もあり、世帯の所得や疾患などに応じて自己負担額が減額されます。

※ご紹介した上記の詳しい内容は、お住まいの自治体、もしくは医療ソーシャルワーカーへお問い合わせください。

透析治療のQ&A

Q&A

Q1

治療

透析時間と回数を減らすことはできますか?

A
1回4時間、週3回という標準的な透析時間は、あくまでも生命維持のための最小要求量です。
1回の透析時間を短くしたり、週の回数を2回にするといった試みが行われていますが、24時間365日休まず働く腎臓の機能を代替するには十分とはいえません。健康な腎臓が行う老廃物の排泄、過剰の水分や電解質(カリウム、リンなど)の排泄を代替するのに最低必要な条件です。
Q2

生活

水分制限をするように言われました。

A
透析治療は透析だけでなく、食事管理や水分制限などの自己管理がとても大切です。水分の制限量は透析患者さんによって異なります。慣れるまでは大変ですが、主治医の指導を受けて少しずつがんばりましょう。
Q3

生活

酒とタバコをやめるよう言われました。本当にやめなければいけませんか?

A
適度に飲まれるのは構いませんが、まずは主治医に確認しましょう。肝機能に異常があれば別問題です。透析患者さんが合併している疾患、飲んでいる薬、身体の状態によって異なります。
タバコはやめることをすすめています。透析患者さんは動脈硬化が進みやすい上に、喫煙するとそれを助長します。
Q4

生活

透析患者はサプリメントを服用してもよいですか?

A
低リン、低カリウム食による摂取低下やハイパフォーマンス膜による透析によって、水溶性ビタミンが抜けることなどが考えられますが、基本的に食事をきちんと摂っていればビタミンの補充は必要ありません。その中でも水分管理、塩分制限、カリウム制限を含めた食事療法が大事です。
生寿会グループでは栄養士による料理教室や調理実習、透析に関する勉強会を開いております。また透析患者さんで運営している「和泉会」という患者会もございます。それらを活用いただき、透析治療を一緒にがんばりましょう。
Q5

生活

祖母に透析が必要になりましたが、一人で通院するのは心もとないです。何かいい方法はありますか?

A
生寿会グループでは送迎車を用意しております。ご希望の患者さんには無料で送迎サービスを行っています。専属の運転手が安全運転を心がけています。
Q6

生活

透析導入後、はやく社会復帰(会社への復職)したいです。

A
社会復帰は血液透析の目的の一つです。健康状態に応じて社会復帰をすすめていただくようにしています。
生寿会グループでは夜間透析も行っております。会社とよく相談され、時間の調整をしていただければ問題はありません。
Q7

保障

障害給付金の受給について教えてください。

A
公的年金(国民年金、厚生年金など)に加入されている方が、慢性腎不全で維持透析を行う必要がある場合、障害年金の2級に認定されます。その他お近くの年金事務所にご相談されることをおすすめします。
Q8

費用

治療費はどれぐらいかかりますか?

A
「特定疾病(長期高額疾病)にかかる特例」という制度があり、透析にかかる医療費の自己負担は医療機関ごとに入院・外来別で月1万円が上限になります。さらに身体障害者手帳を取得し、自立支援医療、自治体の障害者医療費助成制度を利用することで自己負担が軽減されます。
透析治療にかかる費用は? >

ご自分の治療については主治医または透析スタッフへお気軽にご相談ください。